第60回記念 九州地区高等学校PTA連合会大会
「おんせん県おおいた大会」に参加して
鹿児島県PTA連合会副会長 久保和明
「目の前にいる子どもたちにどのような力を培ったらよいのか、一人一人の子どもに将来なりたい職業などの目標や夢をもたせるにはどのようにしたらよいのか、今、我々が生きている社会の現状から我々保護者が気づき、子どもたちに気づかせ、将来にわたって子どもたちが幸せである社会を築くにはなにを伝えていけばよいかを、この大会でつかみ取ってくれればと思っています。」という九州地区高等学校PTA連合会会長の言葉の通り、かねてから我々保護者が抱えている諸問題に「気づき」を与え、認識が高まる素晴らしい大会であったことを最初にお伝えいたします。
6月16日(木)
12:30 全大会(委員会) に出席
13:20 各委員会→総務委員会に出席
14:30 理事会・総会に出席
○全大会(委員会)では正副委員長紹介、平成27年度全国高P連委員会の報告、
平成27年度九高P連委員会の報告並びに次年度への要望引事項が伝えられ、各委員会へ移動となった。
○各委員会→総務委員会では前年度からの要望引継事項を踏まえて、今年度のサブテーマの設定と協議がなされました。
〈要望引継事項〉
協議題「PTAのさらなる活性化に向けて」は本委員会の主題として数年にわたり継続して協議されてきた。PTAの永遠のテーマとしてこれからも引き続き協議を深めてほしい。その上で、課題として指摘されたのは、間口が広く議論の焦点が絞りにくいというものであった。次年度は、協議題を一本に絞り、協議の柱をサブテーマとして設定することで、具体的実際的な協議を願うものである。
〈協議内容〉
サブテーマ「PTAの魅力づくり 人が集まるには」
- アクティブラーニングについて考える。
- 懇親会などのコミュニケーションの機会を増やす。
- 大学視察などの進路問題の企画に取り組む。
- 親が楽しむPTAを目指す。
- 学校と連携し、長距離走大会や文化祭などの学校行事へPTAが協力する機会をつくる。
- 親父会→小中高を通してキャリア教育を実施する。
- 地域へ清掃や花植えなど貢献の機会をつくる。
- PTA、同窓会、後援会などからの人材をキャリア教育など様々な活動に活かす。
などの意見が出され、第2回以降の委員会でまとめていくことになった。
〈指導助言〉
- グローバル人材育成の重要性
- 社会情勢の変化は地域に関係なく、すべての生徒が影響を受けることを認識する
- 日本の学生の現状は
大学入学時→80%が「目標をもっている」
1年終了時→30%が「やりたいことがわからなくなっている」
となっている。
この現状から高校3年間の進路指導、進路講演会等が学んだことが正しく伝わっていなかったのではないか。ミスマッチがないように進めていくことが大事である
- PTAは
保護者のためになり
地域のためになり
学校のためになり
そして将来(生徒) のためになる
などの御助言をいただきました。
○理事会・総会
- 平成27年度 会務報告、決算報告並びに監査報告
- 平成28年度 事業計画並びに予算(案)審議
- 平成28年度 第1回4委員会報告
- 第60回記念 九州地区高等学校PTA連合会大会
「おんせん県おおいた大会」の運営について
- 全国高P連大会千葉大会 九州地区発表者
の協議がなされた。
[鹿児島県PTA連合会 情報交換会]
18:30から情報交換会が開催されました。各所属単位PTAの皆さんがそれぞれの現状や意見を参考にしておられました。各所属単位PTAの紹介の場もあり、とても盛り上がりました。ご縁を大切にして、互いに親睦を深め合い、認識を高め合うPTAならではの光景でいっぱいでした。
6月17日(金)
9:30 分科会 第3分科会に出席
12:10 全大会
○第3分科会
テーマ:グローバル人材の育成に向けて
―これからの時代を予測する―
〈基調講演〉
講演者 横山 研治氏 立命館アジア太平洋大学副学長
- グローバルとは国際という意味ではない。インターナショナルが国際にあたる。
インターナショナル→1つの地域にいろいろな民族が生活や仕事や研究をしている様
グローバル人材→国際(インターナショナル)人材を超えた人材である。
- 立命館アジア太平洋大学
入学時期が4月と9月の2回設けてある。外国の卒業時期に対応するためである。
講師は同じ内容の授業を日本語と英語の2ヵ国語でできる人材を探した。
外国人の学生を募集し、初めは少なかったが「外国からの卒業生がパナソニックで活躍している。」が伝わり増加していった。約6,000人の学生の半数が外国人である。
- グローバル人材の育成について
1.基本
(1)知性→ものを見る力、概念でものをみる力
- ・勉強することを生きる喜びとする。
- ・大人になるほど、社会にでるほど、勉強する機会・時間が減り勉強が必要になる心理があることを伝える。
(2)ものを動かす→心と情がものを動かすガソリン。理屈ではない。
(3)コミュニケーション能力→国際共通語である英語の力をつけておく。
2.育てるもの
(1)マインド→ハイスタンダード 高い意識を普通にする。
- 最低4ヵ国語が流暢に話せるのがスタンダード
- 中国では中学1年生にアルファベットから始めて、中学2年生で英検1級ぐらいの力がつく→6~7時間の勉強がスタンダード
- 韓国では大学入学の1年間は自由に青春を謳歌する→兵役のため→スタンダード
(2)ハート→寛容
- 寛容性→相手の「嫌なところ」を心の中に留めておく。忘れるわけではなく、理由を知る機会、理解する機会があるまで留めておく。
(3)コミュニケーション能力
- グローバル社会でのコミュニケーション能力とは、会議レベルではなく「情」を交わす程度の能力が必要。
3.グローバルとは
(1)異なる人間が生みだす問題を、寛容な心で、コミュニケーション能力により対応すること。
(2)「対立が対立を生むこと」を理解する。
弱い人間ほど、すぐに解決したがる。
〈パネルディスカッション〉
岩佐 礼子 元ユニセフ職員
- 国連にいたころはアフリカ、アフガニスタン等の紛争や災害のある地域にいた。
「対立が対立を生むこと」を体験し、理解できないことが起こると、弱い人間ほど、すぐに解決したがると感じた。
- 持続可能性を考える→前後に持続できるか考える。
今だけでなく、変動に打ち負かされない対応を。
- 地域のために考える。子どもたちが一旦、地域外(東京など)の大学に出て地域に帰りたくなるように→大人が地域としっかり繋がり、モデルを見せる。
田北 裕之 大分製紙株式会社 代表取締役社長
- 若い人たちの「やる気」には「たまたま見たもの」でスイッチが入る。
若い人の心にどのようにスイッチを入れられるのか考える。
ジャスミン インド出身学生
- 最初は外から見る、話すときは聞く側に立って考える。
- 日本の学生と外国人が目標を立てて、企画、実行したとき。
ステイハングリーステイフーリッシュ→ハングリーさ(個人の強さ) が足りないと感じた。
日本の学生はなかなか意見を言うことができなかった。しかし、黙って行動だけはしていた。
慣れてくると少しずつ意見を言い始めた。こちらも少しずつ理解していった。
司会者
- 個人が責任を持って、個人が発言し、リーダーシップをとることが感じ取れた。
〈感想〉
「グローバル人材の育成」とは国際社会に対応するために、語学力を向上させることからだと漠然と考えていました。しかし、この分科会をとおして、グローバル人材には元になる人間力が重要であることが感じられ、「心」「情」「意識」「寛容」などのワードの中に、われわれ保護者も再確認しながら、伝えられることがあると思いました。その上で意識を向上させ、語学にも意識・興味を持ってほしいと思いました。
○全体会
大分県立芸術緑丘高等学校の素晴らしい弦楽4重奏と、大分県立由布高等学校の躍動感溢れる神楽によるアトラクションから始まり、九高P連会長あいさつ、表彰状・感謝状贈呈、全国高P連会長あいさつ、祝辞がありました。議事では、分科会の報告、4委員会報告、活動報告、理事会・総会報告、大会宣言がなされ、記念講演に移りました。
〈記念講演〉
演題 「人生、負け勝ち」
講師 全日本バレーボール アテネ・北京オリンピック監督
柳本 晶一 氏
- 全日本チームは国民のチームであり、結果を出さなければならない。トップアスリートが実力の100%以上の150%の力を発揮しなければ結果はでない。実力の150%の力を発揮するのに必要な「人間力」と、育成するには「どのような意識」を持てばよいのか講演してくださいました。
- 全日本チームが苦しい状態のときに監督に就任した際に、選手のキャスティングを完全選抜にした。バレーボールの「あげる→打つ→拾う」に対して役割を徹底した。その際に必要としていたある選手がバレーボールから離れていました。以前、その選手は代表選手としてプレーをしていた時に全日本が敗退してしまい、その選手だけがバッシングを受け挫折を経験したのです。人は目標があるからこそ挫折を経験します。挫折は人を消極的にしてしまいますが、挫折から這い上がった時に、その経験はとてつもない力となり生かされていきます。「目標を持ったら失敗する」「失敗しないということは目標を持っていないのと一緒」この説明をその選手に何度も繰り返し、その選手はバレーボール界に戻ってきました。その選手はチームに大きく貢献しました。
- 自分も選手時代に全日本では控え選手の期間が長かった。挫折を経験する中で、自分をリセットして練習への意識を変えて力をつけながら這い上がった。例えば「控えだから15分しか練習できない」から「15分も練習できる」に意識を変えて、プレーできない間は他の選手の動きを観察し、練習が終わってからメモにとった。
- 監督としては「選手が伸びる瞬間」を見逃さないように努力した。日頃は厳しく接していても「選手が伸びる瞬間」を認めることで選手を更に伸ばすことを大切にした。
〈感想〉
文章には表れておりませんが、とても楽しい講演でした。笑いもあり、考えさせられるところもあり、もっとお聞きしたい講演でした
選手→子ども、監督→大人と置き換えて、認識を新たにして子どもたちの 健全育成に取り組もうと思いました。
閉会式では大分県から次年開催地の熊本県に「九高P連旗」が引き継がれ、
万歳三唱では改めて「九州は一つ」という思いを再認識し、感動のもと閉会となりました。
2016年7月21日